Paycoin

pci
時価総額順位 #565•
CoinYQ コイン史

韓国の決済経路を失い、ウォレットとカードで再出発したPaycoin

PCIは韓国の加盟店決済の仕組みに組み込まれた暗号資産として始まった。規制当局が関係会社による換金を暗号資産売買と判断すると、ネットワークは残ったものの国内決済経路は途切れた。その後のPaycoinは、アプリ、カード、許可型台帳を同一視せず、PCIを再び支払いへつなげようとしてきた。

Danalが既存の決済網にトークンを組み込む

Danalの2025年投資家資料は、2018年4月の社内ブロックチェーン事業開始と同年9月のスイス法人PayProtocol AG設立を起点とする。2019年にはPCI発行、Danal Fintech設立、韓国決済サービスが続き、4月に加盟店決済が始まった。

法人ごとの役割は分けて考える必要がある。Danalは韓国の上場決済親会社、Danal Fintechは韓国サービスの運営会社、PayProtocol AGは現行サイト資料に記載されるスイスのプロジェクト法人である。Bithumbの開示は後二社を発行・主要運営主体として併記するが、PCI保有によって三社が一つの法的契約相手になるわけではない。

許可型台帳は決済情報とともに管理構造も見えにくくした

PayProtocolは、決済記録に機密情報が含まれるため許可型Hyperledger Fabricをメインネットに選んだと説明する。取引詳細を確認できるのは承認された参加者だけである。公開コントラクトから管理者や発行量を照会できるERC-20とは構造が異なる。

エクスプローラーでネットワーク活動は見えるが、調査した資料は現在の参加組織と権限一覧を公開していない。アプリ残高やブロック画面だけでは、誰がPCIを発行・検証・凍結・取消できるか判断できない。19億枚の上限とロックアップ画面も、不変の公開発行規則ではなく運営者と取引所の開示情報である。

FIU判断が法定通貨への換金経路を断つ

2022年4月、FIUは韓国のPayProtocol法人によるウォレット・カストディ業の届出を受理した。同社はその後、決済用PCIを売買していた関係会社の役割を届出法人へ移すため、売買業の追加を申請した。FIUは暗号資産を法定通貨へ間接的に換える場合にも実名口座が必要と判断した。

2023年1月9日、期限までに口座を確保できなかったため、FIUは変更届を不受理とした。利用者と加盟店を保護しながら2月5日までにサービスを終了する猶予を設けた。この判断が取り除いたのは許可型ネットワークではなく、PCIを韓国の店頭で使えるようにしていた規制対象の換金経路だった。

国内用途の喪失に上場廃止が続く

2023年3月31日、韓国のDAXA加盟取引所は4月14日にPCIの取引支援を終えると発表した。国内決済が事実上無期限に停止し、投資注意指定の理由も解消されていないとの判断だった。当時、プロジェクトの海外決済計画だけでは十分と見なされなかった。

Danalはその後、DAXAによる取引支援終了とPCI価格下落に伴う減損を計上した。規制が採用を妨げたという抽象論より、事業への影響を具体的に示す。ただし、この会計処理で現在のPCIの法的地位をすべての国について説明できるわけではない。 Coinoneは海外決済構造への転換で旧来の韓国変更届経路が不要になったと判断し、2024年4月19日にPCI取引を再開した。この取引所判断は、FIUが2023年に不受理とした売買業の変更届を後から受理したことも、その経路を新たに認可したことも意味しない。

新たな決済経路で自己管理・カード登録・支出が分かれる

プロジェクトは海外決済へ方向を変えた。Danalの沿革は海外PCI決済開始を2024年7月、暗号資産Mastercardの開始を2025年4月とする。現行カードFAQによれば、対象となる欧州諸国で利用するにはFiat24がKYCを行い、Account NFTを発行する。カードは全PCIに内在する権利ではなく、別個の規制商品契約である。

2025年8月21日、PayProtocolはアプリ内にノンカストディ型PCIウォレットを公開した。利用者が自ら作成・管理し、報酬も同ウォレットで受け取る。同じ画面にサービス管理残高と利用者保有のネイティブPCIが表示されても、秘密鍵の保有者と復旧責任は異なる。

2025年には韓国内の経路も形を変えた。現行Wallet Payページは、連携取引所が選択資産を自動売却し、加盟店がウォンで決済を受けると説明する。11月告知は韓国コンビニでのアプリ決済を発表した。実利用を示す一方、2022年にウォレット・カストディ業の届出が受理された韓国法人に新たなFIU認可が与えられた証拠ではない。

2026年7月の白書更新もPayChainの手数料焼却をガバナンス設定比率による設計とし、PCI保有だけでは収益、利息、配当、固定利益を請求できないと明記した。

PayChainは次の設計であり、移行完了の証拠ではない

2025年10月の改訂ホワイトペーパー告知は、EVM決済チェーンPayChainと、決済・ステーブルコイン流動性を結ぶPay-to-Financeモデルを紹介した。同じ告知は既存Hyperledgerメインネットも維持すると述べる。移行完了ブロック、正式なEVM版PCIコントラクト、交換期限は示していない。

PayProtocolの現行サイトは、2025年上期までに累計利用者120万人、月間アクティブ決済者58万人、累計決済額2,800万ドル超と掲げる。運営者が回復を説明する材料ではあるが、Fabric参加権限の管理主体やPayChainの稼働を証明しない。Danal株式、加盟店精算金、アプリ収益の所有権も与えない。

プロジェクトが変化してきた過程

  1. 2018-09
    PayProtocol AGをスイスに設立

    Danalの沿革では、発行プロジェクト法人がPCIと韓国サービス会社に先立って設立された。

  2. 2019-04
    韓国でPCI決済を開始

    Danalは2019年4月を韓国初のPaycoin加盟店決済開始時期としている。

  3. 2022-04-21
    FIUがウォレット・カストディ業の届出を受理

    韓国のPayProtocol法人がウォレット・カストディ業の届出事業者となった。

  4. 2023-01-09
    FIUが売買業の変更届を不受理

    実名口座要件を満たせず不受理となり、2月5日までにPCI決済サービスを終了することになった。

  5. 2023-04-14
    DAXA加盟取引所が取引支援を終了

    国内決済用途が事実上止まった後、韓国での上場廃止に至った。

  6. 2024-04-19
    CoinoneがPCI取引を再開

    韓国決済事業の再受理ではなく、海外決済構造への転換を理由とした。

  7. 2024-07
    海外PCI決済を開始

    Danalの後年の沿革は、海外決済活動の開始をこの時期としている。

  8. 2025-04
    Paycoin Mastercardを開始

    韓国の加盟店換金に代わる経路では、Fiat24の登録審査とカード利用資格が必要になる。

  9. 2025-08-21
    ノンカストディ型PCIウォレットを公開

    利用者が自らウォレットを作成・管理し、報酬も受け取れるようになった。

  10. 2025-10-23
    PayChainがホワイトペーパー構想に加わる

    既存Hyperledgerメインネットの置換ではなく、それと併存するEVM構想として発表された。

  11. 2026-07-06
    白書V10.2がP2Fの権利を限定

    P2Fを決済効率化の枠組みとし、保有者の固定収益権を否定した。

根拠と一次資料

最終根拠確認日: 2026-09-05

Paycoinとはどんなコイン?

Paycoin(PCI)は、Danalグループの韓国決済事業から生まれたPayProtocolの決済用トークンである。現行サイトはPayProtocol名義で運営され、フッターにはスイス法人PayProtocol AGが記載されている。Danalの2025年投資家資料は、2018年のスイス発行法人PayProtocol AG設立と、2019年のDanal Fintech設立・PCI発行を分けて記録する。取引所の開示資料は、Danal FintechとPayProtocol AGを発行・主要運営主体として併記している。

PCIは、PayProtocolの許可型Hyperledger Fabricネットワークに記録される。このネイティブトークンは、取引所残高、カストディ型アプリ口座、Mastercard連携決済に表示される残高と同じものではない。2025年8月、PayProtocolは利用者自身が作成するノンカストディ型PCIウォレットを導入し、報酬の受取方法も変更した。秘密鍵を誰が持つかが実際に変わった出来事だった。

どんな課題を解決する?

Paycoinが当初掲げたのは、暗号資産から韓国の加盟店までの決済経路を短くすることだった。ただし、その仕組みはPCIネットワークだけでは完結しない。関係会社が加盟店決済分を換金し、アプリが利用者資産を保管・移動し、規制対象事業者が法定通貨の流れに関わっていた。2023年1月、韓国金融情報分析院(FIU)は、実名確認入出金口座を確保できていないとして、韓国のPayProtocol法人による暗号資産売買業の変更届を不受理とし、2月5日までにPCI決済サービスを終了するよう求めた。

この判断でPCIそのものが消えたわけでも、その後の海外サービスがすべて違法になったわけでもない。一方、韓国の取引所がトークン評価の根拠としていた国内決済用途は失われた。DAXA加盟取引所は3月31日に取引支援終了を発表し、2023年4月14日に取引支援を終えた。その後、プロジェクトは海外カード決済、取引所連携決済、ノンカストディウォレット、EVMベースのPayChain構想へ軸足を移した。

Coinoneは海外決済構造への転換で旧来の韓国変更届経路が不要になったと判断し、2024年4月19日にPCI取引を再開した。この取引所判断は、FIUが2023年に不受理とした売買業の変更届を後から受理したことも、その経路を新たに認可したことも意味しない。

どのような技術と仕組みで動く?

現行のネイティブネットワークは、承認された参加者だけが取引詳細を閲覧できる許可型Hyperledger Fabricと説明されている。利用者は対応ウォレットやサービスでPCIを保有・送付する。決済商品はPCIを受け取り、別の決済事業者を介して加盟店へ代金を精算できる。公開エクスプローラーでネットワーク活動は確認できるが、許可型台帳にはEthereumのowner()関数や不変の公開バリデータ一覧はない。公開資料だけでは、現在どの組織がネイティブPCIの発行・検証・凍結・取消権限を持つかをCoinYQが独自に列挙できない。

2025年10月の改訂ホワイトペーパー告知は、EVM決済チェーンPayChainとPay-to-Finance構想を紹介する一方、既存のHyperledgerメインネットも存続すると明記した。これは設計の発表であり、全PCIの移行完了や、公開EVMコントラクトによるネイティブ発行量管理を示す証拠ではない。取引所開示はPCIの発行上限を19億枚とし、PayProtocol AGとDanal Fintechを併記する。現行のロックアップ・ダッシュボードはプロジェクトの開示画面であって、独立監査済みの所有者名簿ではない。

アプリ残高には固有のカストディ境界がある。2025年のノンカストディウォレット告知では、利用者が自らウォレットを作成・管理すると説明している。Mastercard決済には、Fiat24での登録、KYC、Account NFTが別途必要になる。こうした商品口座や利用条件によって、PCI保有者がDanal株式、加盟店債権、法定通貨での固定償還請求権、いずれかのチェーンの運営権を得ることはない。

重要ファクトの要約

  • PayProtocol AGは2018年にスイスで設立された。Danalの2025年投資家資料によると、2019年にDanal Fintech設立とPCI発行が続き、韓国でのPCI決済は2019年4月に始まった。
  • PayProtocolの現行ネイティブネットワークは許可型Hyperledger Fabricと説明され、取引詳細を閲覧できるのは承認された参加者に限られる。
  • 韓国FIUは2022年4月にウォレット・カストディ業の届出を受理したが、必要な実名口座が確保されなかったため、2023年1月に売買業を追加する変更届を不受理とした。
  • FIUは2023年2月5日までにPCI決済サービスを終了するよう求めた。この判断の対象は当時届け出られていた韓国事業の仕組みである。
  • DAXA加盟取引所は国内決済事業が事実上停止したと判断し、3月31日に上場廃止を発表、2023年4月14日に取引支援を終了した。
  • Coinoneは2024年4月19日にPCI取引を再開したが、新たなFIU受理を意味しない。
  • 現行の韓国Wallet Payは取引所売却と加盟店へのウォン決済を使う。2025年の加盟店告知だけで規制認可は証明されない。
  • 2026年7月V10.2更新は、PCI保有だけによる収益、利息、配当、固定利益を否定する。
  • PayProtocolは2025年8月21日、利用者が自ら作成するノンカストディ型PCIウォレットを公開し、報酬の受取先も同ウォレットへ変更した。
  • 2025年10月のPayChain告知は、既存Hyperledgerメインネットを維持しつつEVM構想を示す。PCI移行完了を記録したものではない。
  • プロジェクトサイトは2025年上期までの累計決済利用者120万人、月間アクティブ決済者58万人、累計決済額2,800万ドル超を掲げる。発行側が示す運営指標であり、監査済みのトークン権利ではない。
  • 現行の取引所開示はPCI発行上限を19億枚とし、Danal FintechとPayProtocol AGを主な発行・運営主体として記載する。
  • PCIを保有しても、DanalやPayProtocolの持分、加盟店債権、固定償還請求権、バリデータ運営権は生じない。
  • Paycoin Mastercard口座にはFiat24のKYCとAccount NFTが必要である。カード利用資格はネイティブPCI保有とは別の商品関係に基づく。

公式リンク・コミュニティ

よくある質問(FAQ)

PCIの発行主体は誰か。

Danalの沿革資料はスイスのPayProtocol AGを発行法人とし、現行の韓国取引所開示はPayProtocol AGとDanal Fintechを発行・主要運営主体として併記する。両社の法的・運営上の役割を親会社Danalと一括りにすべきではない。

韓国はPaycoinそのものを違法と判断したのか。

FIUは2023年1月、韓国のPayProtocol法人が実名口座要件を満たさなかったため、売買業を追加する変更届を不受理とした。当時のPCI決済構造を整然と終了させる判断であり、すべてのPCI送付や海外商品に恒久的に適用されるものではない。

PCIはなぜ2023年に韓国で上場廃止となったのか。

DAXA加盟取引所は、国内決済事業が事実上無期限に停止し、投資注意指定の理由も解消されていないと説明した。3月31日に決定を発表し、4月14日に取引支援を終了した。

PayChainはすでにPCIのネイティブチェーンなのか。

2025年の告知はPayChainをEVM構想として紹介する一方、Hyperledgerメインネットも存続するとしている。確認できる資料からは、全ネイティブPCIの移行が完了したとは判断できない。

現在のPCIネットワークは誰が管理しているのか。

PCIは許可型Hyperledger Fabricネットワークを使う。承認された参加者がアクセスを管理するが、調査した公開資料には、現在の発行・検証・凍結・取消権限を持つ主体の全一覧はない。

アプリのPCI残高と自己管理するPCIは同じか。

異なる。カストディサービスの記録や取引所残高は運営者に依存する。2025年8月のノンカストディウォレットでは利用者が自らウォレットを作成・管理するため、秘密鍵の保有関係が変わる。

PCIを保有するとどのような権利を得るのか。

対応サービスでPCIを送付・利用できる。調査した資料は、一般保有者に持分、加盟店債権、法定通貨での固定償還、収益分配、バリデータ運営権が生じるとはしていない。

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