Walrus

wal
時価総額順位 #392•Infrastructure, Storage, Sui Ecosystem
CoinYQ コイン史

データを保存する時間を借りるトークン

Walrusの出発点はトークンの相場表ではなかった。すべての検証者が大容量ファイルを複製しなくても、そのデータを明日も読み出せると証明できるかという技術上の問いだった。Mysten LabsはRedStuff、Sui上のオブジェクト、独立した保存ノードの委員会を組み合わせて答えた。 WALはそこに期間と経済規則を与えた。利用者は保存期間を前払いし、委任されたWALがシャードの割当てを左右し、ノード運営者が更新を承認する。公開モジュールは50億枚を一度に生成するが、長期の解除日程、補助金、管理権限の経路も供給上限と同じく重要になる。

ファイルが期限付きの保存記録になるまで

ブロブは内容によって識別される変更不能なデータである。利用者のソフトウェアは検証可能な断片に符号化し、SuiのStorageオブジェクトで容量を予約して、ノードの保存確認署名を集める。シャードの議決比重の3分の2が署名すると、利用可能になったことがSuiに記録される。それまではアップロードした側がデータの利用可能性を確保する責任を負う。

保存の約束には期限がある。メインネットで一度に購入できるのは最大53期で、1期は2週間である。Blobオブジェクトの期間は延長でき、モードによっては削除もできる。ただしSuiオブジェクトを焼却しても全複製が消えるわけではなく、WALも返金されない。購入するのは証明付きの保存期間であり、情報の法的所有権ではない。

50億枚に設定された複数の解除日程

WALのコードは小数点以下9桁で50億枚を生成し、モジュールの公開者に送る。発行権限TreasuryCapは共有オブジェクトProtectedTreasuryに格納され、公開操作は焼却に限られる。開始時の案内は初期流通量を12.5億枚とした。

コミュニティ準備金43%、中核貢献者30%、補助金10%、利用者向け配布10%、投資家7%には、それぞれ異なる日程がある。投資家枠はメインネット開始から12か月後、初期貢献者枠は最初の1年を待って全体で4年かけて解除する計画だ。Mysten Labsとコミュニティ準備金の計画は、それぞれ2030年、2033年まで続く。

ドル建ての料金は価格の安定したトークンを意味しない

保存料金はドルで表示され、WALで決済する。ノードが価格情報を出し、文書上の1GB・1か月当たり0.023ドルに相当するようWALの数量が調整される。Sui取引の手数料は別途SUIで支払う。WAL相場が下がれば必要なトークン数が変わるのであり、それだけでドル建て単価まで変わるという説明ではない。

前払い金は保存用の基金に入り、サービスを提供するエポックごとに配られる。補助金は初期の需要と運営者収入を支え、各期の総報酬の3%が焼却される。ブロブを削除しても、この支払いの流れは取り消されない。

委任は政策の前に保存ノードを選ぶ

委任されたWALは、どのノードがシャードを担当し、収入や運用上の比重を得るかを左右する。委任者は手数料収入を分け合うが、すべての更新に自ら署名するわけではない。各ノードが意思決定の権限を持つアドレスまたはオブジェクトを指定し、更新には1エポック以内にシャードの議決比重の3分の2超が必要になる。

現行の罰則は古い白書の案より対象が狭い。特別多数の賛成で不正をした運営者の累積手数料を焼却する一方、委任元本は引き出せる。コードにはEmergencyUpgradeCapという緊急更新権限の経路もあるが、今回の検討では、その焼却や現在の保有者を確認できなかった。この経路は未解決の点として残る。

公開データと法的権利は別に考える

Walrusが提供するのはデータを読み出せることと改ざんを検知できることであり、秘密保持や保存国の指定ではない。ブロブは公開され、IDも発見可能で、保存ノードや法域は選べない。Sealなどを使う暗号化はアップロード前に行い、鍵は別に管理する必要がある。

Mysten Labsがプロトコルを当初開発し、Walrus Foundationが1.4億ドルを調達してネットワークとインターフェースを支援する。財団の規約はそのインターフェースとオープンソースのプロトコルを区別し、財団はプロトコルを所有も管理もしていないと説明する。WALを持っても財団の持分、配当、信認関係に基づく義務、準備資産に対する償還請求権は生じない。

プロジェクトが変化してきた過程

  1. 2024-06
    開発者向け試験公開が保存の問題を提示

    Mysten Labsは、公開されたWAL経済が始まる前に、Suiで運用を調整する分散型データ保存を紹介した。

  2. 2024-09-17
    白書が保存にトークン経済を組み込む

    最初の公式白書はRedStuff、委任ステーキング、エポックごとの経済規則、WALを用いた設定変更の仕組みを説明し、将来の機能案も含んでいた。

  3. 2025-02-17
    利用者向け配布が請求用NFTで登場

    財団は総供給の10%をコミュニティへの直接配布に確保し、総供給の4%をメインネット前のNFT配布に割り当てた。

  4. 2025-03-19
    財団が1.4億ドルの販売を発表

    Standard Cryptoが主導した非公開トークン販売が、発表済みのメインネット開始予定日に先立って公表された。

  5. 2025-03-27
    メインネットとWALが稼働を始める

    最大供給50億枚、初期流通12.5億枚で、Sui上の保存サービスとステーキングが始まった。

  6. 2026-03-27
    投資家枠が公表された待機期間の終点に達する

    7%の投資家枠がメインネットから12か月という公表上の期限に達した。各ウォレットでの実際の解除には別途チェーン上の確認が必要である。

根拠と一次資料

最終根拠確認日: 2026-09-05

Walrusとはどんなコイン?

WalrusはMysten Labsが当初開発し、Suiを使って運用を調整する分散型データ保存ネットワークである。変更できないデータのまとまりをブロブと呼び、欠損から復元できるよう符号化した断片を保存ノードに分散する。Sui上のオブジェクトには容量、付随情報、利用可能性の証明、預けられたWAL、支払い、運用期間の切替えが記録される。汎用ブロックチェーンではなく、保存のためのプロトコルだ。

WALは小数点以下9桁のSuiトークンである。メインネットの識別子を省略すると0x356a26…f59::wal::WALとなり、完全な識別子は下の基本情報に記した。WALで保存・書込み料金を払い、保有分を保存ノードへ委任できる。Suiの取引手数料には別途SUIが必要である。他チェーンの同名トークンやWalrusという研究モデルとは別のものだ。

どんな課題を解決する?

動画やデータセットをすべての検証者が丸ごと複製すると、保存費用が大きくなる。中央管理のクラウドは安価でも、データを読めるか、検閲されるか、内容を検証できるかを一社に依存する。Walrusは原本の約4.5倍のデータ量をネットワークに分散し、第三者が保存状況を確かめられる仕組みを目指す。

そのためには経済的な規則も必要になる。ノードには前払いの収入、預けられるWAL、違反時の罰則が必要で、利用者はWAL相場が動いても予測できる保存単価を求める。委任されたWALがデータの担当区画であるシャードの割当てと更新時の議決比重を左右するため、ノードの選択は管理権限の配分にもつながる。

どのような技術と仕組みで動く?

利用者のソフトウェアは内容からブロブIDを作り、RedStuff方式で一次・二次のデータ断片に符号化して、担当ノードへ送る。シャードの3分の2を覆う保存確認の署名が集まると、利用可能性の証明がSuiに記録される。シャードの3分の2超を誠実なノードが管理するという前提で、約3分の1のノードが利用できれば読み出せると現行文書は説明する。

利用者は選んだ運用期間分のWALを保存資金用の基金へ前払いし、Sui取引の手数料をSUIで払う。メインネットの運用期間はエポックと呼ばれ、1期が2週間、購入できるのは最大53期先までである。基金は料金と補助金を期間に沿って配り、プロトコルは各期の総報酬の3%を分配前に焼却する。

委任者はノードを選び、運営手数料を引いた後の収入を分け合う。現行の罰則で焼却されるのは不正をした運営者の累積手数料であり、委任元本ではない。契約の更新には1期以内にシャードの議決比重の3分の2超の賛成が必要になる。コードにはEmergencyUpgradeCapという緊急更新権限の経路もあるが、現在のメインネットでの状態は今回の検討では確認できなかった。

重要ファクトの要約

  • メインネットの完全な識別子は0x356a26eb9e012a68958082340d4c4116e7f55615cf27affcff209cf0ae544f59::wal::WALである。
  • 公表された最大供給量は50億WAL、初期流通量は12.5億WALで、1 WALは最小単位の10億FROSTに当たる。
  • 配分はコミュニティ準備金43%、中核貢献者30%、補助金10%、利用者向け配布10%、投資家7%である。
  • 投資家枠の解除予定はメインネット開始から12か月後。初期貢献者は最初の1年間を解除せず、全体を4年間の日程で解除する。
  • Mysten Labsの10%枠には開始時に利用可能な5,000万枚が含まれ、残りは2030年3月まで一定のペースで線形に解除される計画である。コミュニティ準備金の日程は2033年3月まで続く。
  • Walrus Foundationによる1.4億ドルの非公開トークン販売の発表を経て、メインネットは2025年3月27日に稼働を始めた。
  • メインネットは1,000シャードを使い、1エポックは2週間、保存期間の購入上限は53エポックである。
  • WALは保存・書込み料金、SUIはSui取引手数料に使う。現行文書は1GB・1か月当たり0.023ドルをWALに換算すると説明する。
  • 現行の罰則は運営者の手数料を焼却し、委任元本は焼却しない。ただし成績が悪ければ委任者の報酬も減り得る。
  • すべてのブロブは基本的に公開され、削除やSuiオブジェクトの焼却によって前払いしたWALが戻ることはない。

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よくある質問(FAQ)

WALはEthereumやSolanaのトークンですか。

ここで扱うWALはSuiメインネットのトークンで、パッケージ識別子を省略すると0x356a26…f59となる。他チェーンの同名トークンは別の資産である。

50億WALを超えて発行できますか。

公開コードは初期化時に50億枚を作り、発行権限を表すTreasuryCapを共有オブジェクトProtectedTreasury内に格納し、公開操作を焼却に限定する。また発行者にトークン更新権限のUpgradeCapを焼却するよう指示している。ただし今回の検討では、その焼却取引自体を独立に確認できず、現在の供給上限が絶対に変更不能とは断定しない。

WALは何に使いますか。

保存容量と書込み料金を支払うほか、保有分を保存ノードへ委任できる。委任は追加料金の支払いではない。ブロブの登録・認証を行うSui取引の手数料にはSUIを使う。

保有者がすべての変更に直接投票しますか。

単純な1枚1票ではない。各ノードが指定した権限付きアドレスまたはオブジェクトが更新や罰則の投票を行い、担当シャードと委任されたWALが議決比重に関わる。一般の保有者はノードへの委任を通じて影響する。

委任したWALも罰則で失いますか。

現行文書では委任元本は焼却対象ではなく、罰則を実行すると運営者の累積手数料が焼却される。古い白書には復旧時の元本への罰則案もあるため、ここでは現在の運用文書を優先した。

データは非公開で永久に保存されますか。

アップロード前に暗号化しなければ公開され、保存期間は購入したエポックに限られる。ブロブIDは秘密情報ではなく、保存地域も指定できない。キャッシュなどの複製はプロトコルの保存期限後にも残り得る。

WALを持つと財団に対する権利を得ますか。

確認した規約は、財団の持分、配当、信認関係に基づく義務、財団資産への請求権、トークンの償還請求権を与えていない。WALの機能はプロトコル料金の支払い、ノードへの委任、ノードを介した意思決定への関与である。

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