Torres判事の分岐判決:RippleのXRP販売が二つの結論に分かれた理由
SECは2020年、13億ドル超の未登録XRP販売を主張してRippleを民事提訴した。トーレス判事は機関投資家向け販売を投資契約と認める一方、取引所を通じたプログラム販売はハウィー基準を満たさないと判断した。2025年の控訴取り下げ後も1億2,503万5,150ドルの民事制裁金と差止命令が残った。

要点
- SECは2020年12月22日、13億ドル超の未登録XRP販売を主張して民事提訴した。Coinbaseは2021年1月19日に取引を停止した。
- Rippleは争ったが、トーレス判事は機関投資家向け販売の公正な通知の抗弁を退け、他の取引ではその抗弁を判断しなかった。
- 機関投資家向け販売とプログラム販売の結論は分かれた。2025年の双方の控訴取り下げ後も、1億2,503万5,150ドルの民事制裁金と差止命令が残った。
出来事のタイムライン
SECは、2013年から未登録のXRP募集で13億ドル超を調達したと主張した。
Coinbaseは1月19日にXRP取引を停止した。口座残高は保持され、XRPの入金と外部ウォレットへの送付は可能だった。
機関投資家向け販売は投資契約に当たり、Rippleのプログラム販売は当該記録ではハウィー基準を満たさなかった。
10月19日付の合意は、機関投資家向け販売の違反を幇助したとする民事請求を、再提起できない形で終結させた。
SECとRippleが控訴を取り下げ、2024年最終判決の1億2,503万5,150ドルの制裁金と差止命令が残った。
訴状が取引画面に届くまで
2020年12月22日、米証券取引委員会(SEC)はマンハッタンの連邦地裁でRipple Labs、ブラッド・ガーリングハウス、クリス・ラーセンを提訴した。2013年から未登録の証券募集で13億ドル超を調達したという主張だった。差止め、不当利得の返還、民事制裁金を求める事件であり、刑事起訴でも、すべてのXRP購入者の違法性を認めた判決でもなかった。[3]
保有者にとって訴訟は取引画面の変化として現れた。Coinbaseは2021年1月19日にXRPの取引を停止した。同社の案内では残高は口座に保管され、入金や外部ウォレットへの送付も可能だった。売却の窓口を失う影響は大きいが、トークンの所有権が消えたり、ブロックチェーンが停止したりしたこととは区別が必要だった。[6]
ガーリングハウスは12月23日の公開文でSECに反論した。訴訟を暗号資産業界全体への攻撃と位置づけ、ラーセンと自分は個別に和解せず争うと表明した。これはRippleが説明した利害と方針である。規制当局の違法行為を裁判所が認定したわけでも、将来の勝訴が確定したわけでもない。[2]
SECは事実と法律の両面で完全に誤っており、私たちは中立的な事実認定者の前で最終的に勝つと確信している。[2]— アンドリュー・セレスニー、Rippleの外部弁護士
オレンジ農園からXRPへ続く問い
XRPに適用された法理は、フロリダの柑橘農園にさかのぼる。1946年のハウィー事件で最高裁は、土地の販売と栽培・収益分配の契約を組み合わせた仕組みを検討した。共同事業に資金を投じ、他者の努力による利益を期待するなら投資契約になり得る。資産の名称より、取引の経済的実態が重要だった。[1]
この区別がRipple事件の軸となった。2023年7月の判決は、普通の資産でも投資契約として販売され得ると説明した。トークンが通貨や商品の性格を持つことだけでは、すべての販売の法的性質は決まらない。裁判所はXRPのコードに永久の契約を読み込むのではなく、各取引を取り巻く契約、期待、具体的な事情を検討した。[4]
Rippleは、XRPを買っても会社の株式、配当、議決権は得られないと主張した。しかし、裁判所の問いはXRPが株式かどうかにとどまらない。実際の募集や販売がハウィー基準を満たすかを判断する必要があった。会社の外でも使える資産であっても、特定の販売の仕組みは投資契約になり得る。[2][4]
被告らは、何が禁じられるか十分に分からなかったという公正な通知の抗弁を提出し、ラーセンとガーリングハウスは法の適用の不明確さも争った。トーレス判事は機関投資家向け販売について、これらの抗弁を退けた。ハウィー判例と後続判決が憲法上十分な指針を与えていたとしたためだ。他の取引では公正な通知の抗弁を判断しておらず、Rippleの一部勝訴をこの抗弁の勝利と読むことはできない。[4]
同じトークン、異なる販売条件
2023年7月13日、アナリサ・トーレス判事は34ページの略式判決を出した。中心となったのは、同じトークンを含む取引を類型ごとに分ける作業だった。機関投資家と交渉した販売の記録は、取引所の注文を通じた販売の記録とは異なる。どちらの当事者も、結果をあらゆるXRP取引についての単一の勝敗にはまとめられなかった。[4]
書面契約による7億2,800万ドルの機関投資家向け販売は、未登録の投資契約の募集・販売に当たった。裁判所は、買い手が販売代金によるRippleの開発を通じてXRPの価格が上がると合理的に期待したと判断した。他の部分でRippleが勝っても、機関投資家向け販売の証券法5条違反は同社に不利な結論だった。[4]
一方、取引所の注文を通じたRippleのプログラム販売では、買い手は代金がRippleと別の売り手のどちらに渡るか分からなかった。裁判所は、この類型の記録ではハウィー基準の第3要件が立証されないと判断した。脚注16は流通市場での販売全般を判断しないと明記する。個々の事情が重要であり、匿名の注文方式そのものに普遍的な適用除外を与えたわけではない。[4]
以上の理由により、SECの略式判決申立ては機関投資家向け販売について認容し、その他は棄却する。被告らの申立てはプログラム販売、その他の配布、ラーセンおよびガーリングハウスの販売について認容し、機関投資家向け販売については棄却する。[4]— アナリサ・トーレス判事
取引が戻っても判決は残る
取引所の対応は同じ日程ではなかった。Coinbaseの案内は2023年7月13日の取引再開を記録する。GeminiのXRP対応の発表は8月10日付で、8月16日に更新された。これらは各社の判断であり、すべての取引に対する裁判所の保証ではない。判決から数時間で全取引所が一斉に再上場したという話にはまとめられない。[6][7]
7月以降も手続は続いた。後の裁判所文書によれば、SECの中間上訴の許可申立ては2023年10月3日に退けられた。10月19日付の合意は、Rippleの機関投資家向け販売の違反を幇助したとする両経営陣への残存民事請求を、再提起できない形で終結させた。その請求の予定された審理は不要になったが、Rippleへの救済措置はなお決める必要があった。[8][9]
裁判所は2024年8月7日、Rippleに1億2,503万5,150ドルの民事制裁金を科し、今後の証券法5条違反を禁じる最終判決を出した。2025年8月7日にSECとRippleが控訴を共同で取り下げたため、判決は維持された。控訴の終了は、機関投資家向け販売の違反認定、制裁金、差止命令を消すものではなかった。[8][5]
トークンが同じ形で移動しても、販売を取り巻く法的事情は変わり得る。Rippleはプログラム販売で、SECは機関投資家向け販売で勝った。双方の結論を読めば、取引が再開しても大きな民事制裁が残った理由が見える。馴染みのある銘柄名から法的地位を決めつけるのではなく、その資産がどのような条件で売られたかを確かめる必要がある。[4][5]
この事件から学ぶ重要教訓(Key Takeaways)
トークンを取り巻く取引条件を読む
Howey基準では、デジタルトークンの扱いは記録から離れた一律の名称ではなく、募集・販売された取引の経済的実態によって変わり得る。
取引所の対応は普遍的な適用除外ではない
この事件では取引所を通じたプログラム販売と交渉による機関投資家向け契約で結論が分かれた。判決をあらゆる流通市場取引への包括判断として扱うべきではない。
分かれた判決は双方の結論を読む
Rippleはプログラム販売で、SECは機関投資家向け販売で勝った。機関投資家向け販売の公正な通知の抗弁は退けられ、最終判決には民事制裁金と差止命令が残った。
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出典・参考文献
- [1]出典 1: ハウィー事件最高裁判決:投資契約の判断基準Legal Information Institute, Cornell Law School · 1946-05-27確認 2026-09-03
- [2]出典 2: SECの訴状に対するRippleの反論Ripple · 2020-12-23確認 2026-09-03
- [3]出典 3: Rippleに対する民事提訴のSEC発表U.S. Securities and Exchange Commission · 2020-12-22確認 2026-09-03
- [4]出典 4: 2023年7月の略式判決U.S. District Court, S.D.N.Y. / CourtListener RECAP · 2023-07-13確認 2026-09-03
- [5]出典 5: 控訴終了と最終判決の維持に関するSEC発表U.S. Securities and Exchange Commission · 2025-08-07確認 2026-09-03
- [6]出典 6: CoinbaseのXRP取引停止・再開案内Coinbase確認 2026-09-06
- [7]出典 7: GeminiのXRP対応発表Gemini · 2023-08-10確認 2026-09-06
- [8]出典 8: 2024年8月の救済措置決定と手続の経過U.S. District Court, S.D.N.Y. / Justia · 2024-08-07確認 2026-09-06
- [9]出典 9: 2023年10月19日のSEC書簡と一部請求の終結合意SEC and parties / Bloomberg document archive · 2023-10-19確認 2026-09-06


