Filecoin

fil
CoinYQ コイン史

保存の証明がブロックを生む――Filecoinの契約と報酬の仕組み

Filecoinは、使っていないディスクにトークンを付けただけの構想ではなかった。2020年の開始時に、期間を定めて保存を買う顧客、FILを担保にしてデータを証明する提供者、証明済み容量に応じてブロック生成の機会を与えるチェーンを結び付けた。後のFVMはこの取引をプログラム可能にしたが、FILを持つ人にネットワークやアプリの所有権を与えたわけではない。

保存契約は交渉から始まり、データの封入後に有効になる

メインネットは2020年10月15日、エポック148,888で始まった。市場が利用者に提供者を自動で割り当てるわけではない。当事者が交渉し、オンチェーンの提案にpiece CID、提供者と利用者のアドレス、開始・終了エポック、価格、担保を記録する。提案の公開は署名付きの意思表示であり、データが証明済みセクターに封入されて初めて契約が有効になる。

有効になった契約は、期間中の保存に対価を払い、提供者が失敗したときにはプロトコル上の罰則を適用する。利用者が得るのはこのサービスであって、提供者の機器の所有権ではない。すぐに読み出せる非封入の複製も保証されない。高速な取得には提供者側の設備が必要で、それがなければ封入済みの複製を復号してから受け取ることになる。

保存の証拠がブロック生成の確率にもなる

最初に提出するPoRepは、データの固有の符号化を、提供者、セクター、封入処理に結び付ける。WindowPoStは、そのセクターを引き続き証明できるかを繰り返し検査する。セクターに障害が生じるとパワーが減り、担保が削減される場合がある。選ばれた提供者がブロックを作るときには、別のWinningPoStが必要だ。

Expected Consensusでは、生成者に選ばれる確率が品質調整済みパワーに比例する。Filecoinは保存の対価を後から払うだけでなく、証明した容量をブロック生成への影響力へ変える。担保と証明は、費用をかけずに多数の名義を作る行為を抑える。一方で、FILの担保資金、封入設備、繰り返される証明期限に対応できる事業者が有利になる。

20億FILの配分と、実際に使える量は違う

開始時の経済設計ではFIL_BASEを20億と定めた。その70%は採掘報酬、15%はProtocol Labs、10%は資金調達、5%はFilecoin Foundationに配分された。Protocol Labsの枠には、総量の4.5%に当たるチーム・貢献者分を含む。採掘枠のうち11億FILはストレージ採掘、3億FILは将来の採掘用途に向け、後のコミュニティ判断に委ねる準備金とされた。

11億FILも一定の時間割だけで発行されるわけではない。単純発行は3億3,000万FILを対象とし、ベースライン発行は7億7,000万FILをネットワークの保存容量の成長に結び付ける。FIP-0004は獲得したブロック報酬の25%を直ちに使えるようにし、75%を180日かけて解除する。Protocol Labsと財団の初期配分は6年、SAFT投資家の配分は最長3年の解除日程だった。

発行量、流通量、提供者が使える資金はそれぞれ異なる。担保と契約用残高は拘束され、解除前の報酬も使えない。基本手数料と保存・合意に関する罰則のFILは焼却用アクターへ送られ、優先手数料はブロック生成者へ渡る。20億という上限から、一時点で自由に取引できる量は読み取れない。

FVMが取引の自由度を広げても、更新を実行するのは運用者だ

2023年3月14日のエポック2,683,348で、FVMは利用者によるプログラム実行とEthereum互換ランタイムをメインネットへ導入した。コントラクトは提供者への融資、保存契約の更新、チェーン状態を条件にした支払いを調整できる。ただし大量のデータをコントラクト内に移したのではない。受取り、封入、証明、取り出しは提供者が行い、FVMはメタデータと経済的な処理を扱う。

プロトコルの変更には別の手順がある。利用者、提供者、保有者、開発者はFIPを提案し、議論に参加できる。Filecoin Foundationは資金と手続きを支援するが、2025年の報告で、自らがエコシステムの方向を決める立場ではないと説明した。コア開発者が合意を検討し、実装チームがアクターとクライアントの変更をリリースにまとめ、運用者が更新する。

2026年5月のネットワークバージョン28は、この連携を示す例だ。Lotus v1.36.0は4件のFIPと組込みアクターv18をまとめ、エポック6,052,800までに全ノードとストレージ提供者が更新するよう求めた。コードを有効にしたのはFILの所有ではなく、提案者、検討者、実装チーム、運用者の連携だった。

プロジェクトが変化してきた過程

  1. 2017
    資金調達と初期配分が決まる

    FIL_BASEの10%は資金調達、15%はProtocol Labs、5%はFilecoin Foundationに割り当てられ、採掘報酬とは分けられた。

  2. 2020-10-15
    エポック148,888でメインネットが始まる

    保存契約、証明、担保、Expected Consensusが試験段階から継続運用されるネットワークへ移った。

  3. 2020-10
    FIP-0004で報酬を早く使えるようになる

    提供者はブロック報酬の25%をすぐに使い、75%は従来どおり180日かけて解除する形になった。

  4. 2023-03-14
    エポック2,683,348でFVMが有効になる

    利用者がEVMコントラクトを配備し、保存サービスに関わる取引をプログラムで調整できるようになった。

  5. 2026-05-27
    ネットワークバージョン28が有効になる

    Lotusと組込みアクターにFIPの変更が実装され、運用者に必須のアップグレードを通じて合意規則へ反映された。

根拠と一次資料

最終根拠確認日: 2026-09-04

Filecoinとはどんなコイン?

Filecoinは、ストレージの証明を使うブロックチェーンであり、データ保存の市場でもある。利用者はストレージ提供者と契約し、提供者はデータをセクターに封入して複製証明(PoRep)を提出する。その後も時空間証明(PoSt)によって保存を続けていることを示す。証明済みの容量は、ブロック生成者を選ぶ際の品質調整済みストレージパワーになる。FILは保存料、取引手数料、提供者の担保、報酬に使われるが、コイン自体は保存契約でもFilecoin Foundationへの請求権でもない。

どんな課題を解決する?

クラウドを使う顧客は通常、事業者の記録を頼りにデータが残っていると判断する。Filecoinは保存の継続を公開検証できるようにし、複数の提供者が競争する市場を目指した。その代わり、運用には負担がかかる。データの封入処理には計算資源が必要で、提供者はFILを担保として拘束され、証明に失敗すれば担保を失いうる。データの取り出しは別のサービスだ。封入済みの複製を証明できても、すぐに読める複製や一定速度での配信が保証されるわけではない。

どのような技術と仕組みで動く?

利用者と提供者は、データ片の識別子であるpiece CID、保存期間、価格、担保を決めて契約する。データをセクターに封入すると、PoRepがその提供者に固有の複製を結び付ける。WindowPoStは保存の継続を検査し、品質調整済みパワーがブロック生成者に選ばれる確率を決める。選ばれた提供者がブロックを作る際にはWinningPoStも必要だ。提供者は保存料と新規発行FILを得るが、担保の拘束、報酬の段階的な解除、違反時の削減によって、すぐに使える額は変わる。2023年3月以降、FVMとEthereum互換のFEVMは支払いや保存取引を自動化できる。コントラクトが扱うのはチェーンの状態であり、実データを保管するのは提供者である。

重要ファクトの要約

  • メインネットは2020年10月15日、エポック148,888で始まった。
  • PoRepは提供者に固有の封入済み複製を証明し、WindowPoStは保存の継続を検査する。WinningPoStはブロック生成時に必要な証明である。
  • ブロック生成者に選ばれる確率は品質調整済みストレージパワーに比例する。保存容量は合意形成の重みにもなる。
  • 生成上限20億FILの配分は、採掘報酬70%、Protocol Labs15%、資金調達10%、Filecoin Foundation5%だった。
  • ストレージ採掘向け11億FILのうち、3億3,000万は単純発行、7億7,000万はベースライン発行に割り当てられた。別枠の採掘準備金3億FILは将来のコミュニティ判断に委ねられている。
  • FIP-0004ではブロック報酬の25%を直ちに利用可能とし、残り75%を180日かけて解除する。
  • 基本手数料と罰則でFILは焼却される。担保、契約用残高、まだ解除されていない報酬は拘束され、流通量に含まれない。
  • FVMで利用者がプログラムを動かせるようになったのは、2023年3月14日のエポック2,683,348からである。
  • ネットワークバージョン28は、Lotus v1.36.0と組込みアクターv18により、2026年5月27日のエポック6,052,800で有効になった。
  • FIPへの参加は開かれているが、FILは拘束力のある議決権付き持分ではない。Filecoin Foundationは手続きを支援し、単独でアップグレードを命令する立場ではない。

公式リンク・コミュニティ

カテゴリー

関連コインを探索

よくある質問(FAQ)

FILを買えば保存サービスも使えるのか?

FILは決済と担保のための資産だ。保存サービスには、提供者が受け入れた別の契約が必要で、対象データ、価格、期間、証明の仕組みを定める。ウォレット残高だけでは提供者に保存義務は生じない。

PoRepとPoStはどこまで証明するのか?

PoRepは特定の提供者が固有の封入済み複製を作ったことを示す。WindowPoStは、そのセクターを継続して証明できるかを検査する。いつでも読める非封入の複製や、特定のデータ取得速度までは保証しない。

提供者がFILを担保にするのはなぜか?

セクターの維持に失敗したとき、失う資産を持たせるためだ。証明済みの品質調整済み容量はブロック生成の確率にも影響する。FILは運転資金と保証金を兼ね、証明を怠ればパワーが減り、担保も焼却されうる。

20億FILがすべて流通するのか?

20億は未発行分を含む生成上限である。ベースライン発行は発行を遅らせ、初期配分と採掘報酬には解除までの期間がある。提供者の資金も拘束され、基本手数料や罰則によるFILは永久に焼却されるため、流通量とは一致しない。

FIL保有者はFilecoinを統治したりFVMアプリを所有したりできるのか?

保有だけではできない。FIPの議論や意見投票には参加できるが、変更にはコア開発者の検討、実装チームのリリース、提供者とノード運用者の更新が必要になる。FVMアプリが独自の投票権や経済的権利を定めても、それがFILに自動的に付くわけではない。

外部価格トラッカー

Filecoinのリアルタイム価格と取引所を確認: