Tori trUSD

trusd
時価総額順位 #346•Stablecoins, USD Stablecoin, Ethereum Ecosystem
CoinYQ コイン史

100.3079%を示す画面、更新できるコード、請求権を否定する規約

trUSDの表面は、1ドル目標、発行・償還、リアルタイム準備という見慣れたものだ。しかし約束は三つの帳簿に分かれる。Accountableは資産を測り、Ethereumは操作権限を定め、Tori BVIの規約が誰に資金返還を求める入口があるかを決める。

発行者が明示された合成ドル

Tori trUSDはTrueUSDではなく、Tori BVIがEthereumの0xd0580192E98eA6CEB9c7b6191Ed2E27560911697で発行するトークンである。2026年6月8日にERC-1967プロキシとしてデプロイされ、確認時の供給量は66,448,745.589460803766877233 trUSDだった。検証済み実装はUUPS方式でアップグレードできる。

利用者ごとに銀行の1ドル預金を確保する仕組みではない。Tori BVIは受領した安定資産をマネーマーケット、現金同等物、ヘッジ取引に配分する。デルタ中立は相場の方向に対する感応度を抑えても、現物と先物の価格差、取引執行、取引相手、資産保管に伴う損失をなくさない。

発行者はTori (BVI) Limitedで、単独親会社のTori Foundationはケイマン諸島の免除財団会社である。同財団はメンバー、最終受益所有者、受益者を持たないと記されている。Tori LabsはstrUSD関連の案内でもサービス提供者として登場する。

製品の「償還」と、規約の買戻し申請

本人確認とマネーロンダリング対策の審査を経て許可リストに登録された利用者は、0xe16b821B9F6B0a6f06a2C4a61D5d1f71cFa53F1Eへ署名注文を提出する。USDCやUSDTを純資産価値に基づくtrUSDへ交換し、発行手数料は10ベーシスポイントである。市場で純資産価値より安く買って買戻しを受ければ、供給を減らして価格を支える経路になる。

2026年8月8日の専用規約では、Protocol Userは買戻しを申請できるものの、Tori BVIに受諾義務はない。価格はUS$1と準備資産の純資産価値の低い方で、さらに低額またはゼロとなる可能性もある。流通市場のHolding Userは顧客ではなく、登録と許可リストへの追加を済ませるまで申請できない。

したがって価格連動を支えるのは、無条件に1ドルで売り戻せる権利ではなく運用上の経路である。通常の流通市場での交換は認証なしでも行えるが、利用資格の制限には従う必要がある。認証を要する発行・買戻しへの参加とは異なる。準備資産、参加資格、システムの稼働、会社の受諾が揃わなければ、価格が目標から離れる可能性がある。

準備資産の測定と、その法的な所有者

2026年9月4日のAccountableデータは、準備資産US$66,653,319.44、供給US$66,448,745.59、比率1.003079(100.3079%)を示した。準備資産の89.59%を規制下のカストディ銀行、10.41%を規制下の投資銀行と分類していた。準備資産の情報源の大半は非公開の機関向けデータであり、公開されたオンチェーン負債と区別する必要がある。

運用上は運転資金と口座が分かれていても、規約では準備資産はTori BVIの一般資産で、顧客の分別資産ではない。保有者は準備資産への所有権、担保権、請求権を持たず、倒産時に会社財産から切り離して保護される仕組みとはいえない。

別に設けられた準備基金も、成功報酬の一部などを原資とする裁量的な緩衝資金であり、保険ではない。ある時点の証明が正確でも、それによって会社に買戻しや損失補填を強制することはできない。

発行の許可と、待機時間付きの実装変更

発行コントラクト0xe16b821B9F6B0a6f06a2C4a61D5d1f71cFa53F1Eは署名、許可リスト、資産別・全体およびブロック単位の上限、担保資産、承認済み保管先を確認する。Gatekeeperの権限を持つアカウントは発行と買戻しを緊急停止できる。

管理用タイムロック0x7af35ab3E5373dA511c5F1331f44335a36dA1A55には最低86,400秒(24時間)の待機時間がある。登録所有者アドレス5件中3件の署名を要するSafeが、実装更新、発行担当の変更、担保や保管先の追加を提案し、待機後に実行する。MPCの担当権限は取消、利用者の許可、承認済み保管先への担保移動、発行・買戻し停止などを扱う。別の3件の外部所有アカウント(EOA)は利用者の署名注文を提出する。これらのアドレス数から自然人の人数や身元は分からない。

設定された発行担当だけがtrUSDを発行でき、保有者は自分のトークンを焼却できる。確認したtrUSD実装には送金ブラックリストも直接の一時停止機能もないが、サービスの利用経路は制御され、待機を経て実装も更新できる。strUSDが別途持つブラックリスト管理機能とは区別すべきである。

報酬と待機期間を持つ、別のstrUSD

0x280839980a7eD0D7717F64125fE241012E5F5815へtrUSDを預けると、ERC-4626型の持分strUSDを受け取る。trUSD自体には利回りがなく、strUSDに報酬が入ることで交換率が上がる仕組みである。出金には7日間の待機が必要となる。

表示APYは過去7日間の成績を年率換算したもので、将来の収益を約束しない。報酬から10%の成功報酬が差し引かれ、規約上の報酬は裁量的で、ゼロ、マイナス、停止となる可能性がある。基礎となる投資に対する直接の経済的請求権も与えられない。運用方針にはマネーマーケット、先物のベーシス取引、限月間の価格差を使う取引が含まれる。

CCIPを使う設計では、基準となるEthereum側のトークンをロックし、他チェーン側で発行・焼却する。確認時の公式一覧に掲載されたアドレスはEthereumのみで、他ネットワークのアドレスは利用可能後に追加するとされていた。公表された設計と、確認できた稼働範囲は分けて読む必要がある。

プロジェクトが変化してきた過程

  1. 2026-01-15
    Sherlockレビュー開始

    Sherlockによる全プロトコルの監査レビュー期間は1月15日から22日までと公表されている。

  2. 2026-03-24
    Nethermindレビュー開始

    Nethermindによる監査レビュー期間は3月24日から26日までと公表されている。

  3. 2026-06-08
    trUSDプロキシ展開

    Ethereumに正規プロキシが記録された。

  4. 2026-08-08
    専用規約更新

    更新された専用規約はTori BVIを発行者とし、買戻しを会社の裁量によるものと定めている。

根拠と一次資料

最終根拠確認日: 2026-09-05

Tori trUSDとはどんなコイン?

Tori trUSDは、0xd0580192E98eA6CEB9c7b6191Ed2E27560911697で稼働するアップグレード可能なEthereum ERC-20である。2026年8月の規約上の発行者はTori (BVI) Limited。銀行預金のドルを保有者のために保管する型ではなく、Tori BVIが所有・運用する資産とヘッジ取引ポジションを経済的裏付けとする合成ドルだ。

0x280839980a7eD0D7717F64125fE241012E5F5815へ預けるとERC-4626型の持分トークンstrUSDを受け取る。trUSD単体には利回りがない。strUSDの交換率には成功報酬10%控除後の変動報酬が反映され得るが、退出には7日間の待機があり、報酬はゼロ、マイナス、または停止となり得る。

どんな課題を解決する?

製品文書は、認証済み参加者がNAVで発行・償還し、裁定が価格を1ドルへ近づけると説明する。法的文書の関係は狭い。拠出資産はTori BVIの所有物となり、保有者は準備資産への請求権を持たない。Protocol Userでさえ、US$1と準備資産NAVの低い方を上限とする任意の買戻しを申請できるだけだ。

したがって、機能する発行・回収経路は、法的に保証された1ドル償還権ではない。流通市場のHolding Userは顧客ではなく、オンボーディングとホワイトリスト登録後も買戻しの受諾は会社裁量に残る。

どのような技術と仕組みで動く?

ホワイトリスト入りしたProtocol Userは0xe16b821B9F6B0a6f06a2C4a61D5d1f71cFa53F1Eへ署名注文を送り、USDCやUSDTなどの許可資産をtrUSDと交換する。同コントラクトは買戻し、資産別・全体上限、担保、カストディ送付先、緊急停止を扱う。trUSDプロキシは0xb1d133fE29255EB4Ac9B05d647d49cd7F05ff631へ委譲し、タイムロック管理者がminter変更と実装更新を認可する。

準備資産はマネーマーケット、現金同等物、デルタ中立先物に配分される。Accountableの2026-09-04時点データは準備US$66,653,319.44、供給US$66,448,745.59、比率1.003079を示した。これは一時点の測定であり、保険や保有者の担保権ではない。運用文書の「運転資金から分離」と、規約上の「顧客分別資産ではない」は両立する。

重要ファクトの要約

  • 対象はEthereumのtrUSDプロキシ0xd0580192E98eA6CEB9c7b6191Ed2E27560911697で、小数点以下18桁まで扱う。TrueUSD(TUSD)とは別の資産である。
  • 発行者はTori BVI、単独親会社はケイマン諸島の免除財団会社Tori Foundationで、Tori Labsはサービス提供者である。
  • プロキシは2026年6月8日にデプロイされた。確認時の検証済みUUPS実装は0xb1d133fE29255EB4Ac9B05d647d49cd7F05ff631だった。
  • Blockscoutで確認した供給量は66,448,745.589460803766877233 trUSDだった。
  • 設定された発行担当コントラクトだけが発行でき、保有者は自分のトークンを焼却できる。発行担当の変更と実装更新にはタイムロック管理者の権限が必要である。
  • 公式の発行コントラクトは0xe16b821B9F6B0a6f06a2C4a61D5d1f71cFa53F1E。管理変更には0x7af35ab3E5373dA511c5F1331f44335a36dA1A55の最低86,400秒の待機時間が適用される。
  • 登録所有者アドレス5件中3件の署名を要するSafeが管理を担う。MPCの担当権限は利用者の許可、承認済み保管先への担保移動、発行・買戻し停止などを扱う。別に3件の外部所有アカウント(EOA)が利用者の署名注文を提出する。アドレス数は自然人の人数を意味しない。
  • 確認したtrUSD実装には送金ブラックリストも直接の一時停止機能もない。登録・発行・買戻しの経路は制限でき、strUSDには別のブラックリスト管理機能がある。
  • CCIPを使ってEthereumを中心とする設計は公表されているが、確認時の公式一覧で掲載を確認できた稼働アドレスはEthereumのみだった。
  • 2026年9月4日のAccountableデータは、準備資産US$66,653,319.44、供給US$66,448,745.59、カバー率100.3079%を示した。準備資産の情報源の大半は非公開の機関向けデータだった。
  • 運用文書は運転資金との口座分離を説明する。一方、規約は準備資産を顧客の分別資産とせず、保有者の準備資産に対する権利を否定している。
  • 本人確認とマネーロンダリング対策の審査を経て許可されたProtocol Userだけが買戻しを申請できる。会社に受諾義務はなく、価格はUS$1と準備資産の純資産価値の低い方が上限となる。
  • trUSD単体には利回りがない。strUSDの報酬は変動し、裁量的であり、10%の成功報酬と7日間の出金待機がある。
  • 米国に所在する利用者はProtocol Userになれない。これとは別に、米国・EU・EEAに常居所または登記事務所を置く個人・法人にはstrUSDの取得制限が適用される。

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よくある質問(FAQ)

Tori trUSDはTrueUSDと同じか?

いいえ。本稿の対象はEthereumの0xd058…1697にあるTori trUSDである。TrueUSDはTUSDという別の資産で、コントラクト、発行者の歴史、準備資産の構造も異なる。

常に1 trUSDを1ドルで買い戻してもらえるのか?

いいえ。適格なProtocol Userでも申請できるのは会社の裁量による買戻しで、会社に受諾義務はない。価格はUS$1以下であり、準備資産に損失が出ればさらに低く、ゼロになる可能性もある。

保有者は準備資産を所有するのか?

いいえ。規約では準備資産はTori BVIの財産とされ、トークンの保有によってその所有権、担保権、請求権を取得することはない。

価格を1ドルに近づける仕組みは?

認証済みの利用者が市場価格の高い時に純資産価値付近で発行し、安い時には買戻しを申請する設計である。十分な裏付け、利用資格、会社による買戻しの受諾が必要で、価格の固定を保証するものではない。

trUSDだけで利回りは得られるのか?

trUSD単体には利回りがない。trUSDを預けてstrUSDを受け取ることで報酬に連動するが、報酬は低下、停止、マイナスとなる可能性があり、10%の成功報酬も差し引かれる。

管理者はtrUSDの送金を凍結できるのか?

確認した実装には送金ブラックリストも直接の一時停止機能もない。ただし発行・買戻しの停止、Protocol Userの利用制限、最低24時間の待機を経た実装更新は可能である。strUSDには別のブラックリスト機能がある。

すでに複数チェーンで稼働しているのか?

CCIPを用いる設計はあるが、確認時の公式一覧にはEthereumのアドレスだけが掲載され、他ネットワークのアドレスは利用可能になってから追加すると説明されていた。

Accountableの数字は何を示すのか?

署名付きの準備資産・負債データから、ある時点のカバー率を確認できる。保険や保有者向けの資産保管を設けるものではなく、会社に買戻しを義務付けるものでもない。

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