CoinYQ コイン史

crvUSDは一度の清算を価格帯ごとの取引に変えた

担保価格が一つの限界に達するまで待ってから売却する。そのローンの仕組みをCurveは変えようとした。LLAMMAは価格帯を通過する間に取引を始める。調整の余地は生まれるが、損失が消えるわけではない。Controllerの債務、AMMの担保、PegKeeperの流動性、借入金利を分けて読むと、このステーブルコインが清算までの時間をどう変えたかが見えてくる。

2023年5月、担保を一つの出口から複数の価格帯へ

2023年5月14日に始動したcrvUSDは、担保別に分離された市場で発行する超過担保型ステーブルコインだった。借り手は企業の準備金へ資産を預けるのではない。市場のControllerがcrvUSD債務を記録し、その担保とcrvUSDの交換に特化したAMM、LLAMMAへ担保を配置する。

ローン作成時に担保を4〜50の価格帯へ分ける。価格が範囲より上にある間は担保のままだが、オラクル価格が範囲を横切ると、裁定取引者が割安な側を買い、担保が次第にcrvUSDへ変わる。価格が回復すれば交換の方向も反転し得る。最初の基準でローンを閉じる代わりに、再び担保を持つ状態で範囲を抜ける可能性が生まれる。

価格が戻っても、取引の損失は残る

「ソフト」という言葉が示すのは清算の進み方であり、損失からの保護ではない。価格帯での取引には手数料がかかり、市場価格で約定するため、往復しても元の数量に戻るとは限らない。Curveのリスク説明も、段階的清算と担保への復帰に伴う損失、急変時やガス代が高い時の裁定取引不足、ローンの健全性がゼロに達する可能性を挙げている。

文書上の制約では、価格が範囲内にある間、借り手は担保を自由に追加・引出できないが、返済はできる。健全性が十分にマイナスになると清算者が強制清算を実行し、ローンを閉じて残りの担保を受け取れる。crvUSDは清算までの経路を変えたのであって、最終的な清算を廃止したわけではない。

貸付、価格維持、金利には別々の会計がある

ControllerFactoryは承認した発行市場ごとに債務上限を設け、crvUSDを事前発行してControllerへ配分する。Controllerはその一部を借り手に渡し、利息を積み上げる。返済すると個別債務と総債務が減る。トークンの発行権限者は発行・焼却を行えるため、供給量は固定上限ではなくガバナンスの配分とコントラクト内の資金移動から生じる。

PegKeeperは別の会計を使う。PegKeeperV2はFactoryの上限内で、crvUSDが高い時に承認済みプールへcrvUSDを供給し、安い時に片側流動性を引き出せる。Regulatorとオラクルの検査がその動作を制限する。LP保有分と相手側ステーブルコインはプロトコルの価格維持装置であり、一般保有者に1ドルの償還請求権を与えるものではない。

三つ目の調整手段が借入金利だ。集約金融政策はcrvUSD価格、PegKeeper債務、全体または市場ごとの債務を読む。2026年1月22日の変更はPegKeeper債務比率に9日間の指数移動平均を適用した一方、直接の価格信号は即時反映のまま残した。狙いは金利変動の緩和であり、固定金利ローンの提供ではなかった。

手数料を受け取るにはscrvUSDを経由する

2024年10月31日に始動したSavings crvUSDは、ERC-4626方式の別の持分トークンだ。預けたcrvUSDは運用戦略へ貸し出されず、Ethereumの金庫に残る。Controller手数料はFeeSplitterとRewardsHandlerを通り、金庫のcrvUSDを増やす。持分数がリベースしなくても、scrvUSD一単位で取り出せるcrvUSDが増えることがある。

この収益経路はガバナンスが管理する。DAOは報酬処理コントラクトを手数料受取先にするか決め、分配の範囲や時点を設定するか委任する。金庫の特権を持つ役割は、引出を残したまま新規預入を不可逆に停止することもできる。通常のcrvUSDには自動的な手数料請求権がなく、scrvUSDにも約束された年利はない。

将来の実装を選ぶことと、既存コードを書き換えること

Curve DAO管理者は担保市場の追加、価格オラクルと金融政策の選択、債務上限や手数料経路の変更を行える。ControllerFactoryで使う新しいAMM・Controller実装も指定できる。しかし変更が対象にするのは将来の配備であり、既存の非プロキシ型市場コントラクトは書き換わらない。設計の交代には新市場の設置、旧市場の終了、移行が伴う。

監査文書はPegKeeperV2もアップグレード不可能と説明する一方、周辺のRegulatorにはDAO管理者設定とEmergency DAOの停止経路が残る。2026年9月3日の案は、V2のLP保有分に代えて指定AMMで取引し、承認済みの最終資産を持つV3へ段階的に移行しようと提案した。9月4日の確認時点では提案段階だった。次の設計議論は示すが、V3が既に価格連動を守っている証拠ではない。

プロジェクトが変化してきた過程

  1. 2023-05-14
    crvUSD始動

    最初の発行市場がController債務とLLAMMAの価格帯別清算をEthereumへ導入した。

  2. 2023-05-31
    修正実装を将来の市場へ

    Curveは修正したController・AMM実装を公開した。Factoryの設定変更は後の配備に適用され、最初の市場を書き換えない。

  3. 2024-05-30
    PegKeeperV2移行案が登場

    Regulatorの検査、新しい上限、Emergency DAOの停止権限により、特定の相手側ステーブルコインへの依存を減らす提案だった。

  4. 2024-10-31
    scrvUSD金庫始動

    別のERC-4626持分を通じ、ガバナンスが定めるcrvUSD借入手数料の一部を預入者へ割り当て始めた。

  5. 2025-03-12
    改良した発行市場へ担保を追加

    新しいController・AMM実装がcbBTC、weETH、LBTC市場を資産別の上限と設定で支えた。

  6. 2026-01-22
    PegKeeper債務比率に9日間の平均を適用

    採用された金融政策は債務比率に指数移動平均を使い、crvUSD価格への反応は即時のまま保った。

  7. 2026-09-03
    PegKeeper V3を提案

    V2のLP保有構造から取引後に最終資産を持つ設計への段階移行が議論に入った。配備完了は確認されていない。

根拠と一次資料

最終根拠確認日: 2026-09-04

crvUSDとはどんなコイン?

crvUSDはCurve DAOがEthereum上に構築した超過担保型のドル・ステーブルコインだ。借り手は担保別の市場でControllerとLLAMMAを通じて借り入れる。PegKeeperと変動金利の政策がドルとの価格連動を支え、別の預入商品であるscrvUSDはガバナンスが割り当てた借入手数料の一部を預入者に分配する。

どんな課題を解決する?

担保ローンでは、オラクル価格が清算基準を越えた時点で担保がまとめて売却されることがある。crvUSDはLLAMMAの複数の価格帯に交換を分散し、PegKeeperと借入金利の調整でドル価格を維持しようとする。その代わり、複数の価格入力、債務上限、管理者の設定が組み合わさる。清算や価格連動の崩れをなくす仕組みではない。

どのような技術と仕組みで動く?

借り手は承認済みの担保市場を選び、LLAMMAの4〜50の価格帯に担保を配置して、その市場のControllerからcrvUSDを借りる。価格が範囲内に入ると、裁定取引によって担保とcrvUSDの構成が徐々に変わる。ControllerへcrvUSDを返済すれば債務が減る。別のPegKeeperV2は、Regulatorコントラクトの検査とControllerFactoryの債務上限に従い、承認済みプールへ片側の資産だけを供給したり引き出したりする。金融政策コントラクトはcrvUSD価格、PegKeeper債務、市場債務から変動金利を設定する。別のERC-4626金庫であるscrvUSDへ預けると持分トークンを受け取り、割り当てられた借入手数料が届くにつれて持分当たりのcrvUSDが増えることがある。

重要ファクトの要約

  • crvUSDは2023年5月14日に始動した。Ethereum上のERC-20アドレスは0xf939E0A03FB07F59A73314e73794Be0E57ac1b4Eで、小数点以下18桁を使用する。
  • LLAMMAは各ローンの担保を4〜50の価格帯に分ける。担保価格が下がるとcrvUSDへ、回復すると担保へ戻る方向の取引が起こり得る。ただし、それまでの交換や担保への復帰過程で生じた損失は取り消されない。
  • 段階的な清算では一つの価格でローンを閉じない。しかし健全性が強制清算の基準に達すれば、外部の清算者がポジションを不可逆に終了できる。
  • ControllerFactoryはガバナンスが定める債務上限に合わせてcrvUSDをあらかじめ発行し、ControllerとPegKeeperへ配分する。Controllerはその配分から貸し出し、返済や上限引き下げなどに伴う回収・焼却はコントラクトの規則に従う。
  • PegKeeperの流動性は指定プールに対するプロトコル債務であり、一般保有者が1ドルで償還できる準備金ではない。PegKeeperV2はプール残高、集約価格、Regulatorの検査を通して動作する。
  • 2026年1月22日の金融政策変更は、全債務に占めるPegKeeper債務の比率に9日間の指数移動平均を適用した。crvUSD価格の項は引き続き金利へ即時に反映されるため、価格連動が乱れると金利が急変することもある。
  • scrvUSDは2024年10月31日に始動した別のERC-4626金庫で、アドレスは0x0655977FEb2f289A4aB78af67BAB0d17aAb84367だ。預入crvUSDは金庫に残り、DAOが割り当てる借入手数料と寄付が持分当たりの資産を増やす。
  • crvUSD自体には、文書で確認できる借入利息の請求権はない。scrvUSDの預入者は金庫の規則に従い持分を利用可能なcrvUSDと交換できるが、固定利回りは保証されない。
  • ControllerFactory管理者は市場を追加し、将来の配備に使う実装、債務上限、手数料の受取先を変更できる。その実装設定を変えても、既存のAMMやControllerがプロキシ経由で更新されるわけではない。
  • PegKeeperV2自体はアップグレードできないが、DAO管理者の設定やEmergency DAOの権限によって対象の供給・引出動作を停止できる。2026年9月3日のPegKeeper V3移行案はガバナンス提案であり、稼働中の機能として確認されたものではない。

公式リンク・コミュニティ

カテゴリー

関連コインを探索

よくある質問(FAQ)

段階的な清算なら担保は必ず戻るのか。

戻るとは限らない。価格が回復すればLLAMMAはcrvUSDを担保へ交換できるが、過去の取引、手数料、担保への復帰過程で生じた損失は残る。健全性が十分に悪化すれば強制清算も起こる。

借りるcrvUSDは誰が発行するのか。

トークンのコントラクトは一つの発行権限者を認め、配備された構成ではControllerFactoryによる配分を通じてその権限が使われる。各Controllerは債務を記録しながら借り手へcrvUSDを渡す。返済は債務を減らし、システムの会計・焼却処理につながる。

誰でもcrvUSDを1枚1ドルで償還できるのか。

検討したコントラクトには、発行者がドル、銀行預金、担保資産の比例配分へ交換する窓口はない。保有者はcrvUSDを送金・売買でき、借り手はcrvUSD建て債務の返済に使える。これらは発行者への償還請求権とは異なる。

PegKeeperの資産とローンの担保は同じか。

異なる。借り手の担保は各市場のLLAMMAに置かれる。PegKeeperは別の債務上限を受け、承認済みプールの片側流動性を操作して価格連動に働きかける。相手側のステーブルコインとプールのオラクルへの依存も生じる。

借入金利は何によって決まるのか。

現行の集約政策はcrvUSDの市場価格、全債務に対するPegKeeper債務の比率、目標債務比率、基準金利、市場別上限の使用状況を反映する。DAOが管理する設定は変更可能で、価格の項は即時に反応する。

crvUSDを持つだけでscrvUSDの収益を得られるのか。

別のscrvUSD金庫へcrvUSDを預けるか、scrvUSDを取得する必要がある。持分トークン数が自動的に増えるのではなく、報酬の反映によって持分当たりのcrvUSD交換量が増えることがある。

scrvUSDの利回りは保証されるのか。誰が変更するのか。

固定利回りは保証されない。収益は借入手数料、寄付、金庫と流通供給の比率、FeeSplitterとRewardsHandlerで設定する範囲に左右される。Curve DAOや委任された役割が分配設定を変更できる。

ガバナンスは既存の全市場を書き換えられるのか。

DAO側の管理者は債務上限、政策、手数料受取先、将来の実装を設定でき、緊急権限者はPegKeeperの動作を停止できる。ただし将来の配備設定を変えても、既に配備された非プロキシ型AMMやControllerのコードは書き換わらない。新設計への移行には配備とガバナンスの手続きが必要だ。

外部価格トラッカー

crvUSDのリアルタイム価格と取引所を確認: