PayPal USD

pyusd
時価総額順位 #29•Stablecoins, USD Stablecoin, Solana Ecosystem
CoinYQ コイン史

PayPalの外へ出たドル、約束を引き受けたPaxos

PayPalが2023年8月にPYUSDを始めた狙いは、口座内のドルをPayPalのない場所でも使えるようにすることだった。今では7つのネットワークでネイティブ発行される一方、償還の約束はPaxos、利用者が押すボタンは別会社の規約につながっている。

決済会社が発行をPaxosに託した理由

PayPalは大手消費者向けウォレットとしては珍しく、自社名を冠したドルをEthereumと外部ウォレットへ送り出した。Paxos Trust Companyが発行、準備資産の保管、発行体の義務を担い、PayPalは顧客画面と決済用途を担った。6週間後にはVenmoにも加わり、二社の違いは同じアプリ体験の裏に隠れた。

規約では役割が分かれる。PayPal Digitalの1ドル買い取りは、同時にPaxosと同額で取引できる場合に限られ、PayPalはPaxosの履行を保証しない。外部保有者がPaxosへ直接償還するには、Paxosの適格顧客になる必要がある。

Solanaが経路を変え、Arbitrumが拡張方法を変えた

最初のPYUSDはEthereum上にあった。2024年5月29日、PayPalとPaxosは安い送金と決済向けToken Extensionsを理由にSolanaでのネイティブ発行を追加した。2025年7月には最初のレイヤー2としてArbitrumを選んだ。一つの準備制度でチェーン別トークンを発行したのであり、すべてのPayPal画面が全チェーンを扱うという意味ではない。

2026年7月の検証表はEthereum、Solana、Arbitrum One、Stellar、Polygon、Ink、X Layerの7網を載せた。対してPayPal口座や個別の支払商品が示す選択肢はもっと少ない場合がある。送る前にPaxosの正規アドレスと、利用サービスの対応網をそれぞれ確認したい。

時刻が刻まれた26億9千万ドルの照合

KPMGは2026年7月21日と31日のPaxosの主張を検証した。31日時点で償還対象PYUSDは2,689,335,674枚、準備資産は2,694,072,163ドルだった。大半を米国債担保レポが占め、現金と短期米国債が残りを構成した。償還対象供給を上回る純運用益は、保有者ではなくPaxosが引き出せる。

これは信頼性の高い時点照合だが、常時監視ではない。KPMGは内部統制の有効性には意見を示していない。意見は二つの時点における特定の主張だけを対象とするため、継続的な活動や法令順守を証明するものでもない。Paxosは許容範囲で資産配分を変えられるため、7月の内訳を現在まで延長して読むことはできない。

PYUSDを発行・停止・凍結できる主体

Ethereum版は更新可能なプロキシで動く。指定された供給コントローラーが発行・焼却し、承認された停止役割が送金を止め、資産保護役割がアドレスを凍結して残高を消去できる。オンチェーンで確認したところプロキシは停止しておらず、現行実装、プロキシ管理者、デフォルト管理者、SupplyControlの各アドレスを確認した。

Solanaの現行Token-2022ミントには発行権限、凍結権限、恒久デリゲート権限が残る。Paxosの一般プログラム資料は上限と許可先を説明するが、その構成が現行PYUSDに接続されている証拠ではない。Paxosの凍結・没収規約は非顧客にも及ぶ。

この権限集中は2025年10月15日に可視化された。Paxosの運用アドレスが誤って自らに300兆PYUSDを発行し、22分後に超過分をすべて焼却した。トークンはそのPaxos運用アドレスから出なかったものの、運用上の発行権限の大きさは明らかになった。

PayPalの報酬制度は通常のドル型トークンを利息商品に見せることがある。しかしこれは対象口座で参加する販促制度で、PayPalが率を変えたり終了したりできる。準備資産の収益分配ではなく、対象外の外部ウォレットへ移したトークンにも付いてこない。

米国での発表から70市場の口座へ

2025年12月12日の転換で、発行体の監督はニューヨーク州の信託制度からOCCへ移った。新しい国法信託銀行は預金を受けず、FDIC加盟銀行でもない。PYUSD自体にもFDIC保険はない。登録条件を満たした場合、準備のうち適格な銀行預金だけに限定的なパススルー保険があり得るが、Paxosの破綻は対象外だ。

PayPalは2026年3月、70市場の口座にPYUSDを広げると発表した。ただし国ごとの利用範囲、報酬、口座種別の違いは注記に残った。米国のウォレット機能から多網・多国籍の決済資産へ成長しても、ドルの約束、管理権限、直接償還の入口はPaxosに集中している。

プロジェクトが変化してきた過程

  1. 2023-08-07
    PayPalのドルがEthereumへ出る

    PayPalはPaxos発行のPYUSDを始め、対象の米国利用者が外部ウォレットへ移す道を開いた。

  2. 2023-09-20
    Venmoが第二の窓口になる

    VenmoがPYUSDと互換送金に対応し、Paxos発行のまま消費者への入口を増やした。

  3. 2024-05-29
    Solanaでネイティブ発行を開始

    低コスト決済とToken Extensionsを掲げて二つ目の基盤網を開いた。現行の権限はオンチェーンのミントアカウントで別途確認する必要がある。

  4. 2025-07-17
    Arbitrumが最初のレイヤー2になる

    非公式ラップ資産に頼らず、Ethereumの拡張網へネイティブ発行を加えた。

  5. 2025-10-15
    運用鍵が300兆枚を誤発行

    Paxosは自社アドレスに生じた超過分を22分後に全量焼却した。市場流通はなかったが、発行手続きの危険が表面化した。

  6. 2025-12-12
    Paxosの監督先が変わる

    発行体は州信託会社からOCC監督下の無保険国法信託銀行へ転換した。

  7. 2026-03-17
    PayPalが70市場への展開を発表

    利用地域を広げながら、国別の資格や報酬対象外という違いを残した。

根拠と一次資料

最終根拠確認日: 2026-09-05

PayPal USDとはどんなコイン?

PYUSDは決済向けの米ドル連動ステーブルコインである。PayPalが企画してPayPalやVenmoで流通させる一方、法的な発行体、準備資産の管理者、コントラクトの運営者はPaxos Trust Company, N.A.だ。ドルを誰に請求できるのか、アドレスを誰が管理するのか、どのサービス規約が適用されるのかは、この役割分担から読み解く必要がある。

どんな課題を解決する?

PayPalが求めたのは、社内台帳から外部ウォレットやアプリへ出ても、多くの暗号資産のように値動きしないドルだった。そこで消費者への窓口をPayPal、規制下の発行をPaxosが担う形を選んだ。移動範囲が広がる代わりに、発行体の規則、配布サービスの利用条件、複数チェーン、管理鍵という層が重なった。

どのような技術と仕組みで動く?

Paxosは分別管理した適格資産を裏付けにネイティブPYUSDを発行し、規約を満たすPaxos顧客から直接償還を受ける。PayPal Digitalが1ドルで買い取る経路には、同時にPaxosへ同額で売却または償還できるという条件がある。Ethereum版は小数6桁の更新可能なプロキシで、発行管理、停止、凍結の権限を備える。現行Solana版はToken-2022で、発行権限に加えて凍結権限と恒久デリゲート権限が残る。確認した資料だけでは、Paxosの一般的な発行管理プログラム設計をこれらの現行アドレスに結び付けられない。他チェーンも正規アドレスと権限を個別に確かめたい。

重要ファクトの要約

  • PayPalは2023年8月7日にEthereum版PYUSDを発表し、発行体をPaxosと明記した。
  • 2026年7月31日の検証報告は、7つのネイティブネットワークと償還対象PYUSD 2,689,335,674枚を集計した。
  • 同日の準備資産は現金、米国債担保のレポ、米国債で計2,694,072,163ドルだった。
  • PayPal口座の報酬は任意参加の販促制度であり、準備資産の運用益を保有者へ渡す仕組みではない。
  • Paxosは2025年12月12日、OCC監督下の無保険国法信託銀行へ転換した。

公式リンク・コミュニティ

カテゴリー

関連コインを探索

よくある質問(FAQ)

PayPalがすでにドル決済を扱うのに、なぜPYUSDを作ったのですか?

PayPal口座の外にあるウォレットやアプリへ移せるドル単位を作るためだ。Paxosによる1ドルの発行義務を残す一方で、公開チェーンの動作とPaxosの管理権限がPayPalの口座規則に加わる。

発行と償還を担うのはどこですか?

Paxos Trust Company, N.A.が発行し、適格なPaxos顧客に直接の発行・償還を提供する。PayPalとVenmoは流通窓口であり、PayPal Digitalの1ドル買い取りにはPaxosと同額で同時に取引できることが条件となる。

最新の検証時点では何が裏付け資産でしたか?

2026年7月31日のKPMG報告は、現金約9,470万ドル、米国債担保レポ22億62万5,000ドル、米国債約3億9,875万ドルを記録した。これは二つの時点を調べた報告であり、リアルタイム残高ではない。

ネイティブPYUSDが存在するチェーンはどれですか?

2026年7月報告はEthereum、Solana、Arbitrum One、Stellar、Polygon、Ink、X Layerを挙げる。PayPalの商品画面が選べる範囲は狭い場合があるため、正規アドレスと送金サービスの対応網を両方確認する必要がある。

PYUSDを持てば誰でもPayPalの報酬を受け取れますか?

受け取れない。対象となるPayPal暗号資産口座で参加手続きが必要で、率や継続はPayPalが変更できる。通常のPYUSDや準備資産の運用益とは別の制度である。

外部価格トラッカー

PayPal USDのリアルタイム価格と取引所を確認: