CoinYQ コイン史

役割が四度変わっても残ったトークン

Havvenは、二つのトークンで価格を安定させる仕組みとして始まった。Synthetixはその後、担保トークンに合成価格市場全体の債務を負わせ、負債を複数の区画へ分け、債務管理をプロトコル運営のプールへ委ねた。そして最後には、その設計の理由だったステーブルコインの廃止へ進んだ。SNXという名前は転換をまたいで続いたが、過去の約束が同じ条件で残った証拠ではない。

まず名前が変わり、その後にアドレスが変わった

Havvenは2018年6月11日、HAVを担保とする最初のnomin、nUSDをEthereumメインネットで公開した。値動きのあるHAVに、ドル単位を安定させる役割を負わせる設計だった。

同年11月30日、プロジェクトはネットワーク名をSynthetixへ、HAVをSNXへ、nominsをSynthsへ、nUSDをsUSDへ改称した。発表は、アドレスを変更しないため、トークンには名称以外の変更が起きないと明記していた。

ただし、この説明だけでは後の技術的な系譜を語り切れない。2020年5月10日のプロキシ切り替えにより、主なERC-20操作は0xC011a73e…へ移り、2018年の旧プロキシは過去のものになった。名称変更をトークン交換と呼ぶのは誤りだが、アドレスが一度も変わっていないという説明も不完全である。

ウォン価格の誤りが共有債務を露出させた

V2では、SNXステーカー全体がSynth取引者の共同の相手方になった。sUSDを発行すると債務持分が生まれ、Synth価格や取引者の利益が動けば、その持分の価値も変わった。手数料を受け取るには担保状態を健全に保つ必要があり、担保率が下がれば清算対象になった。

2019年6月25日、KRW価格フィードが誤った値を送った。取引停止までに、あるボットはその価格差を利用して約3,700万sETHを生み出した。Synthetixがボット運営者へ連絡すると、運営者は報奨金と引き換えに取引を巻き戻すことへ同意し、公式記事はその後サービス再開を伝えた。

この出来事の意味は、名目額の大きさだけではない。外部価格が正しく入ること、運営チームが機能を素早く止められること、ボット運営者が協力することに仕組みが依存していた。関連するCoinYQストーリーも、合成資産の帳簿上の残高を、実際に盗まれた10億ドルの現金とは扱わずにこの事件を追う。

V3は一つの債務部屋を複数に分けた

SIP-300はV2の混合債務プールを、ボールト、プール、市場へ置き換えた。ボールトが担保をまとめ、プール所有者が信用枠を市場へ割り当て、その市場の損益が割当経路を通じて流動性提供者へ戻る。一つの市場群を全ステーカーが引き受けるのではなく、プールごとに市場を選べるようにすることが狙いだった。

モジュール化は統制面も広げた。V3のルーターは更新可能であり、公式リポジトリはプロキシ所有者が関数識別子の衝突を起こすモジュールを導入できる危険を記している。プール配分、市場パラメーター、オラクル、担保設定、実装の更新は、それぞれ別の権限である。

金融政策も並行して変わった。2019年3月13日に始まったSNXのインフレ発行は、2023年12月のSIP-2043によってゼロへ設定された。終わったのは計画された毎週の発行であり、別の目的で新規発行を承認する能力まで消えたわけではない。

420 Poolという解決策も旧制度になった

SIP-420は、各ウォレットが個別に債務を管理する負担を減らそうとした。2025年に始まったプールは旧ポジションを受け入れ、sUSDと債務を一括管理し、12か月での債務免除を提示しながら、退出には7日間の待機期間を設けた。その後の案内では、個別の担保率や清算を伴わない新規ステーカー向けの簡易経路も説明された。

SIP-423は2026年にこの取り決めを書き換えた。従来の直線的な債務免除を止め、sUSD保有要件をなくし、債務のないSNXを返還する一方、債務付きSNXはpDAOに残した。継続する参加者には4年間のロックとその後1年間の権利確定が課され、早期退出には残債の全額返済が必要になった。

同じSIPは旧sUSDを停止し、対象となる59,116,089単位を記録した。1単位につき4 SNXなら、最大236,464,356 SNXを新規発行できる。ただし第3段階の受取証明用コントラクトと第4段階の新ステーキング・コントラクトは、現在も「構築延期」と記されている。したがってEtherscanが示した581,404,223.555663177920417946 SNXは、計画完了後の最終値ではなく、日付のある観測値である。

メインネットの注文板、七つの議席、そして更新権限

SynthetixはL2の無期限先物市場を終了し、オフチェーンの中央指値注文板で注文を照合しながら、証拠金をEthereum上で保管して決済する混合型の設計で戻った。2025年12月の開始時は限定ベータ版であり、2026年5月の更新はメインネット無期限先物を稼働中とする一方、その後の機能は計画として示している。

ガバナンスも集約された。SR-2は三つの評議会を7議席のSpartan Councilへまとめ、承認に4人の署名を求めた。一部の議席は選挙で選ばれるが、運営担当の議席は雇用され、選出議席によって交代させられる。財務行為にはTreasury Seatの署名も必要である。

評議会だけが仕組み全体を動かすわけではない。pDAOはアップグレードを検証、準備、実行し、SNXプロキシでは所有者が処理先と委任呼び出しを設定できる。したがってSNXを保有するだけでは、実行権限、法的な株式、預金、固定収益、参照資産の所有権、手数料の自動受領権は得られない。利益とリスクは、個別のステーキング、ガバナンス、コントラクトの経路を通じてのみ生じる。

プロジェクトが変化してきた過程

  1. 2018-06-11
    nUSDが公開される

    Havvenは、HAVを担保とする最初のnominをEthereumメインネットへ投入した。

  2. 2018-11-30
    HAVが名称上SNXになる

    コントラクト・アドレスを変えず、プロジェクトとトークンの呼び名を変更した。

  3. 2019-03-13
    ステーキング向けインフレ発行が始まる

    固定1億枚だった供給に、担保提供者への計画報酬が加わった。

  4. 2019-06-25
    KRWオラクル事件

    誤った価格により約3,700万sETHが生じ、機能停止後にボット運営者が取引の巻き戻しへ同意した。

  5. 2023-12-04
    SIP-2043が毎週の発行を終了

    ガバナンスは計画されたSNXの週次発行量をゼロへ設定した。

  6. 2025-03-07
    420 Poolが債務管理を引き受ける

    プロトコルは旧制度の個別ポジションを、委任型の債務管理へ移し始めた。

  7. 2025-12-18
    メインネットの注文板型無期限先物がベータ開始

    オフチェーンで照合した注文をEthereum上で決済する市場が始まった。

  8. 2026-06-12
    SIP-423がsUSDの廃止を決める

    旧ジュビリーを止め、最大236,464,356 SNXへの転換を認めたが、後続コントラクトは構築延期のままである。

根拠と一次資料

最終根拠確認日: 2026-09-05

Synthetixとはどんなコイン?

SynthetixはEthereum上のデリバティブ・プロトコルであり、上場トークンのSNXはHavvenのHAVを受け継いでいる。現在の製品は、注文をオフチェーンの板で突き合わせ、資産の保管と決済をEthereumメインネット上で行う無期限先物取引所である。SNXは時期によって、ステーブルコインの担保、V2の共有債務に対する持分、V3の流動性担保、委任型ステーキングに使う資産という異なる役割を担ってきた。過去の役割を、現在も同じ条件で続く権利だと受け取ってはならない。

どんな課題を解決する?

ティッカーが残る一方で、コントラクトのアドレス、製品、債務の負い方は変わってきた。そのため、公式のV2ページを読んで共有債務や毎週の手数料が現在も同じ条件で続くと誤解したり、SIP-423が旧ジュビリー日程を止めた後に420 PoolのFAQだけを読んでしまったりする恐れがある。大切なのはSNXを一語で定義することではない。どの版がどの請求権を生み、誰がその仕組みを変更でき、約束された構成要素のうち何が実際に配備済みなのかを分けて確かめる必要がある。

どのような技術と仕組みで動く?

V2では、ステーカーがSNXを担保にsUSDを発行し、世界共通の債務プールに対する債務持分を受け取った。Synthの価格や取引者の利益が動くと、各ステーカーの負債額も変わった。V3は担保をボールト、プール、市場に分割した。その後、SIP-420は債務管理をプロトコル運営の420 Poolへ移した。SIP-423は旧sUSDを停止し、従来の債務免除日程を「一定期間ロックするか、残債を返済するか」という条件へ変更したうえで、スナップショット対象のsUSDに1単位当たり4 SNXの受取資格を認めた。ただし、受取証明用コントラクトと新しいステーキング・コントラクトは、どちらも構築延期と明記されている。

重要ファクトの要約

  • 現在のEthereum版SNXプロキシは0xC011a73ee8576Fb46F5E1c5751cA3B9Fe0af2a6Fである。2018年のHAVからSNXへの変更は名称変更にとどまり、プロキシ・アドレスの切り替えは別の出来事として2020年5月10日に行われた。
  • SNXの計画発行は2019年3月13日に始まり、SIP-2043は2023年12月に毎週の発行量をゼロへ設定した。毎週の発行がゼロでも、供給上限が変更不能になったわけではない。
  • 確認時にEtherscanが表示した総供給量は581,404,223.555663177920417946 SNXだった。総供給量、流通量、ブリッジ上の量、財務管理下の量はそれぞれ別の指標である。
  • SIP-423は、対象となる旧sUSD 59,116,089単位に対し、1 sUSD当たり4 SNX、最大236,464,356 SNXの新規発行を認めている。受取証明用コントラクトは現在も「構築延期」と記載されている。
  • 旧420 Poolの12か月債務免除と早期退出日程は停止された。債務のないSNXは返還対象となり、債務付きSNXはpDAOが保管する。継続する場合は4年間のロックとその後1年間の権利確定を受け入れ、早期退出する場合は残債を全額返済する。
  • SR-2は7議席のSpartan Councilを設けた。SIP、SCCP、STPと財務行為の承認には4人の署名が必要で、財務行為にはTreasury Seatの署名も要る。すべての議席が保有者から直接選ばれるわけではない。
  • pDAOはアップグレードを検証し、準備し、実行する。V3は更新可能なルーターを使い、SNXプロキシでは所有者が処理先と委任呼び出しの設定を変更できる。
  • SNXを保有するだけでは、会社の持分、保険付き預金、固定収益、Synthが参照する資産の所有権、無条件の手数料受領権や償還権は生じない。ステーキングとガバナンスには、それぞれ固有の条件とコントラクトがある。

公式リンク・コミュニティ

カテゴリー

関連コインを探索

よくある質問(FAQ)

2018年にHAVを新しいSNXトークンへ交換したのですか?

いいえ。2018年11月の発表はコントラクト・アドレスを変えず、HAVという名称をSNXへ改めたものである。現在のEthereumアドレスへ移ったのは、別に実施された2020年5月10日のプロキシ切り替えだった。ブランドの継続とコントラクトの継続は別の出来事である。

SNXのステーカーは今もSynth全体の共有債務を負うのですか?

それはV2の仕組みである。V3は債務をボールト、プール、市場に分け、SIP-420は債務管理を420 Poolへ委ねた。さらにSIP-423は旧ジュビリー日程を止め、ロックを続けるか残債を返すかという新条件を定めた。ステーキング案内を現在の条件として使う前に、提案日と配備状況を確認する必要がある。

SNXのインフレ発行は永久に終わったのですか?

SIP-2043は2023年に計画された毎週の発行量をゼロへ設定した。しかしSIP-423は後に、旧sUSDの請求権を処理するため最大236,464,356 SNXの新規発行を認めた。発行率がゼロになったことは、変更不能な上限が生まれたことを意味しない。

SIP-423で旧sUSD保有者は何を受け取れますか?

停止時のスナップショットで対象となったアドレスには、sUSDの受取資格1単位につき4 SNXが割り当てられ、総額には公表上限がある。SIPでは受取証明用コントラクトが構築延期とされ、ロックと権利確定の条件があり、未請求の受取資格は6か月後に失効する。これは特定のスナップショットに基づく権利であり、すべてのSNX保有者に与えられるものではない。

SNX保有者は取引手数料をすべて受け取れますか?

無条件の手数料受領権は確認できない。V2の手数料はステーキングと担保健全性に依存し、現在の資料はプール分配や収益を原資とする買い戻しを説明している。SNXを持つだけで固定配当や財務資産の直接引き出し権を得られるわけではない。

Synthetixを統治し、アップグレードするのは誰ですか?

SNX投票が直接選び、または影響を与えるのは、7議席のSpartan Councilの一部に限られる。SR-2では4人の評議員署名がガバナンス行為と財務行為を承認し、pDAOがアップグレードを検証、準備、実行する。更新可能なプロキシがあるため、これら実行担当の権限には技術上の重みがある。

現在の取引所はすべてオンチェーンで動きますか?

いいえ。注文は高性能なオフチェーンの中央指値注文板で照合され、証拠金の保管と決済はEthereum上で行われる。この設計は、以前のオンチェーンSynth取引所とは異なる可用性と信頼の前提を持つ。

外部価格トラッカー

Synthetixのリアルタイム価格と取引所を確認: